
株式会社 北村製作所
車両事業本部
第一技術部 設計一課
髙野 滉己さん
髙野 滉己(ひろき)さん
日本の暮らしを支える「ハコ」づくりを担う若手設計士
トラックの荷台や電波機器を保護するシェルターなど、社会インフラとしての「ハコ」製品の製造を手掛け、2025年で設立80年を迎えた株式会社北村製作所。新潟から全国各地にオーダーメイドの「ハコ」を送り出す設計士として活躍する髙野 滉己(ひろき)さんにお話を伺いました。
新潟から全国へ。日本各地を走るトラックの「ハコ」をゼロから設計
―現在の担当業務についてお聞かせください。
私の部署では、トラックの後ろに載っている「ハコ」の設計を行っています。皆さんも街中で見かける宅配業者などのトラックの荷台がその例です。大小さまざまなトラックの「ハコ」はもちろん、災害時に欠かせない災害支援車や、通信機器・測定機器などを搭載した特殊車両など、設計する商品の種類は多岐にわたります。
当社の製品はすべて完全受注制のオーダーメイドで、お客様のご要望に合わせて仕様が一つひとつ異なります。私は、全国の支店や営業所から届く仕様書を基に、小型バン、小型アルミバン、アルミバンボデーの設計を担当しています。
アルミバンボデーとは、トラックの荷台となるアルミ製のハコのことです。アルミは丈夫で軽く、雨風や直射日光を防げるので荷物をしっかり守れます。また、荷物をアルミバンボデーに収めることで走行中の落下の心配が少なく、盗難対策にも有効です。今では多くの運送業者が採用していて、ネット通販が一般的になった社会で必要不可欠な存在になっています。
「棚をこうしたい」「フックを付けたい」など、お客様からの細かなご要望に向き合い、一台一台ゼロから最適なハコを設計するのが私の仕事です。

“ただの四角い箱”じゃなかった。ハコ設計の奥深さと全国規模の事業スケールに惹かれて
―髙野さんの就職活動の流れと北村製作所を選んだ経緯を教えてください。
手に職をつけたいと思い、大学は金沢工業大学に進学しました。卒業後は地元に戻ると決めていたので、地元企業の中から技術部を持つ会社を十数社ほどリサーチしました。ものづくりといっても業種は幅広いのですが、その中でトラックの荷台を設計している会社は珍しく、単純に「面白そうだな」と感じたのが北村製作所に興味を持ったきっかけです。
会社説明会では、上司と部下という立場を超えて気さくに話している社員さんたちの様子が印象的でした。質疑応答の雰囲気も良く、「働きやすそうな会社だな」と素直に感じたのを覚えています。
また最初は、「四角い箱なら、どの荷台もそんなに違わないのでは?」と思っていたのですが、お話を聞くうちにその考えは覆されました。トラックが“何を運ぶか”“どこへ運ぶか”“どのくらいの量を運ぶか”によって設計が大きく変わり、用途に応じた細かい工夫が必要になると知って、一気に興味が湧きました。
最終的な決め手となったのは、事業のスケール感です。新潟にいながら、誰もが目にしたことのある大企業のトラック設計に携わることができ、自分の仕事が日本各地で役に立っていると実感できる点も魅力でした。すべてがオーダーメイドの特注品という特別感も、「ここで働いてみたい」と思えた大きな理由です。
製造現場を回った半年間。連携の大切さと働くイメージが明確に
―入社してから部署の配属まではどのような流れでしたか?
入社後は、まず半年間の新人研修があります。製造現場を順番に経験できるのですが、これが本当に楽しかったです。どの班の先輩も、私たちの興味をかき立てるような教え方で仕事を紹介してくれました。
製品がどんな工程でつくられていくのかを学び、工具の使い方も丁寧に教えていただいたので、しっかり使いこなせるようになりました。また、アルミバンボデーの接着作業や、完成品に向けての様々な作業を経験し、トラックが部品から製品として出来上がるまでの流れを一通り体験できました。
半年という長い期間をかけて各班を回ったことで、ものづくりは多くの部署の協力があって初めて成り立つということを実感しました。もともと技術部(設計)が第一志望ではあったものの、製造現場での研修もとても楽しかったので、「どこに配属されても頑張れそうだな」と思えたほどです。
技術部(設計)に配属されてからも、研修中に工場で一緒に作業した先輩方のおかげで、設計の指示書を書く際のやり取りもスムーズに進めることができました。研修で築いた関係性が今の仕事にとても生きています。配属後は先輩から実務を学び、1年ほどで一通りの業務を自分で進められるようになりました。
―設計の仕事ではどんなところにやりがいや面白さを感じますか?
すべてがオーダーメイドなので、前例がなく困ることも少なくありません。でも、大変なほど面白いし、工夫しがいがあると感じます。
例えば、材質が変わるだけでハコの中の温度が変化しますし、積み荷の内容によって最適なスペース配分なども変わります。棚の位置一つで重量バランスも変わり、走行中の安全性にも影響します。そのすべてを踏まえて設計し、お客様のニーズと安全基準をクリアしてお客様に喜んでいただけた時は、大きな達成感があります。
自分の設計が形になり、出荷され、街中でキタムラマークを付けたその車両に出合った時はやはり感慨深いです。「自分の仕事が社会を支えている」という実感が得られ、誇らしい気持ちになります。

―あらためて感じる自社の強みはどんなところだと思いますか?
長い歴史の中で蓄積されたデータとノウハウによる設計力は、やはり北村製作所ならではだと思います。他社では「できない」と言われるようなオーダーにも応えられるからこそ、全国各地から依頼をいただけているのだと感じます。
また、事務所と工場が同じ敷地内にあるため、実物をすぐに確認できますし、部署間の連携もしやすい環境です。コミュニケーションも取りやすく、クオリティを守るうえでも大きな強みになっていると思います。
―人間関係の良さは働きやすさの大きな要因のようですね。
はい。入社前の良い印象はそのままで、実際に働いてみても人間関係の良さは大きな魅力です。世代が近い社員はもちろん、先輩にも話しかけやすく、困った時はすぐ相談できます。
設計の仕事は基本的に一人で進めますが、迷ったら上司や先輩に相談でき、多様な視点からアドバイスをもらえるので、若手でも挑戦しやすい環境です。上司が手本を見せてくれるので学びやすいですし、周囲のサポートも心強いです。
また、手頃な社員食堂があったり、5年ごとの「リフレッシュ休暇」で長期休暇を取得できたりと、働きやすい制度が整っているのもうれしいですね。入社して5年目の年に、その休暇を使って東北から関西まで、車でひとりドライブ旅をしました。もともと出かけることが好きなので、休日はあちこちに出かけてリフレッシュしています。最近は、同僚に誘われて初めて行ったサウナにすっかりハマっています。
他社にはできない最高の「ハコ」づくりを目指して
―これまで仕事で大変だったエピソードはありますか?
お客様からは「棚を付けたい」「フックを付けたい」など、さまざまなご要望をいただきます。
実際、お客様のご要望を盛り込むと重量オーバーしてしまう、という難しい案件が印象に残っています。私は当初「壁を薄くする」という単純な方法を考えていました。図面上では基準を満たしているように見えても、試作品では耐久テストをクリアできず、設計と実際の使用条件との差を痛感しました。先輩設計士に相談し、素材を再検討、軽さと耐久性を両立できる最適な構成を探り続け、何度もテストを繰り返した結果、ようやく耐久基準と重量規定の両方を満たすことができました。限られた納期の中でも妥協せず最善を尽くすことの大切さ、そして先輩のサポートの心強さを強く実感しました。
―仕事をする上で意識をしていることはありますか?
「相手の立場に立つこと」です。お客様にはご希望はあっても、専門的な部分までは詳しくない場合もあります。だからこそ、お客様に寄り添い、わかりやすい説明や丁寧なヒアリングを心掛けています。
社内に対しても同じで、設計は製造現場へ指示を出す立場ですが、新人研修で“指示を受ける側”の気持ちや苦労を経験できたことで、指示書を出す際は受け取る相手がわかりやすいよう、丁寧な仕事を心掛けています。
―髙野さんの今後の目標をお聞かせください。
北村製作所の強みは、綿密な連携力と高度な設計技術だと思います。その強みを支える設計士として、これからも他社で「できない」「難しい」と言われるような案件にも積極的に挑戦していきたいです。
そして、他社には真似できない唯一無二の最高のハコを日本中に届け、人々の暮らしを支える社会インフラに貢献したい。「キタムラだから安心・安全」と言われるキタムラクオリティを、さらに高めていくのが私の目標です。
社内では、他部署の人からも頼りにされる、尊敬される存在になりたいですね。これからも頑張ります。
